昔から和室へ入るときは、畳の縁を踏まないようにと言われてきましたよね。
でもどうして踏んではいけないのか理由を知っている人は少ないと思います。
そこで今回は畳の縁を踏まない理由について調べてみました!
畳の縁を踏まない理由とは?
・畳が痛むから
畳の縁は麻や絹などで作られており、植物染めで染められていました。そのため縁を踏んでしまうと色が落ちてしまいます。また、縁は畳の作りからしてもとても弱い部分になります。そのため縁を踏んでしまうと麻がすり切れてしまったり、畳自体を歪ませる原因にもなります。昔の人にとっては畳は高価なものだったので、畳を痛ませないよう配慮したのです。
・空間様式を乱すから
敷居や畳の縁は様々な区切りを意味し、秩序を保つものとして考えられていました。敷居は世間と家、部屋と廊下などを区分するものとして、畳の縁は家の主人とお客さまを区別するものとして意味しています。仏教には聖域と俗世を分ける結界という概念があり、それを踏襲したものと言われています。身分制度が根強くあった時代には畳の縁が身分の高い人と低い人が座る場所を分け、秩序を守っていたとされています。
・家人を敬うため
格式を重んじるお家では「紋縁」といって畳の縁に家紋をいれるところもありました。家紋は家の象徴ですから、縁を踏むことはその家に住む家人やそのご先祖様を踏むことを意味します。来客はもちろん、家人であっても縁を踏まないことが先祖を敬う心に繋がったのです。
・生物を敬うため
畳の縁の模様には動物や草花など生き物をテーマとした柄があしらわれることもありました。紋縁同様に、畳の縁を踏まないことは生きとし生けるものを大切にするという心を表すとされていました。そのため心優しく静かに歩くようにということが躾のひとつとなったそうです。
・転ばないため
現在作られている畳は縁も畳に合わせて平らになっていましたが、かつては縁の部分が盛り上がっていることが一般的でした。そのため、盆を持って歩くときなど下を見ずに歩くときにつまづいてしまう人も多かったようです。
・殺されないため
しばし忍者劇などで畳の縁から刀が飛び出すシーンがありますが、実際忍びが床下に隠れ、畳の縁から刀を出して刺し倒すことがあったそうです。命のためにも畳の縁を避ける方が安全だったようです。
さいごに
今では畳の隙間から刀が出てくることはありませんが、料亭でのマナーについての記事で紹介した通り現在でも畳の縁を踏むことはマナー違反になります。
部屋へ通されたときは意識していても、帰るときにうっかり踏んでしまいがちです。
普段から意識して畳の縁は踏まないように心がけておくと良いかもしれませんね。
最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました^^